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足元にオーダーメイドの相棒を

  • ayumi
  • 2016年8月14日
  • 読了時間: 7分

大阪の下新庄という、特に栄えているわけでもない地域

ひょっこりと隠れ家のようにしてある、そんな場所に

若き靴職人のお店がありました。

『僕と自家製靴店』

ちいさな黒板の看板が顔をのぞかせる。

松尾さん

↑不愛想だから笑ってと言うと笑顔。笑

マンションの一回にあるアトリエは今年(2016)の5月にオープンをしたとのこと。

できたてホヤホヤ

ノンフィクション靴作家こと松尾悠さんがオーナーのお店。

迷ったので(笑)、電話させていただくとフランクな感じでお出迎えしてくれました^^

さっそくお伺いしたのは

「なぜこんな僻地にあるのか」

(笑)

いや、怒ってるんじゃなくて不思議に思ったのです。笑

オーナーの松尾さんは靴を作るときに音が出るから、人が少ない所を選んだ

とのこと

いやぁ、知らなかった!

靴を作るときに音が出るなんて!

ここは音を出して良いらしく、この地にアトリエを構えたそうです。

松尾さんが靴を作り始めたのは、つい一年前に靴の学校に通っていた頃から。

それまでは製造業の企画や企業と製造業の仲介役となるような会社の営業やらを経験されているうちに

秘めていた「モノづくりがしたい」という気持ちと、靴の営業時代に知った靴の面白さから

今の靴職人という在り方を選んだそうです。

そもそもそんな学校があったことは知らなかったのですが

大阪にある西成製靴塾という学校で革靴の作り方を学べるそうで、そこで一年学んだあと独立。

なかなか出来ない決断だとは思いますが

それだけ靴づくりは話を少しお伺いするだけでも奥深かかった!!

≪例えば、革

牛さんの革

こちらはテロテロしていて薄く曲げやすい感じ

アッパー(靴の本体)に使う革

こちらも同じく牛さんの革

だけど靴底に使うもので太くて固め。

同じ牛の革でも靴の中底にはショルダーという背中あたりの革を使い、本底にはベンズというお尻あたりの革を使っています。

といったように

靴のどこに、どんな革を使うかが変わってくるのです。

≪例えば、糸

革を靴に仕上げるために縫い付けていく糸は麻を5本くらい手でねじり合わせて

松脂とロウを混ぜたようなもので固めて塗リ合わせ1本の麻糸にしていく。

糸さえも手をつかって生み出していくなんて!!

ちなみに、これは「すくい縫い」という作業の写真で、

これができると一人前の靴職人呼ばれるほど大変な作業なのです。

*****

SHITTEKAUだからこそのコーナー(松尾さんのブログに詳しく掲載されてますのでチェック)

“それ、どうやってつくってるの?”

今回は木型に合わせながら革を靴のカタチにしていく作業過程を見せていただきました。

靴の型に裁断しつくった革の生地を合わせていきます

ちなみにオーダーメイドだと木型からその人に合わせたものを木型屋さんに頼んで作ってもらいます。

木型から発注なので同じ形で良ければ、二足目から採寸の手間が省けますね^^

木型は業界ではラストと呼ばれ、材質は樹脂ですが木型と言われるように木材の木型も存在します。

かかとに補強素材(芯材)を入れます。

カウンター芯と呼ぶそうです。

こちらも牛の革を使っています。

中の革と外から見える革を合せます。

革にも伸びる方向があるので、そんなところも計算しながら裁断していますのですっ。

テキトーに切って合わせているのではないのだ。

釘で仮止め。いかつい。

結構体力いりそうな感じでした。

つま先に入れ補強する芯(先芯)を入れる準備。

革の端だけ馴染むように削って足に

「うわ!ここ補強されてるとこやん!」っていう

違和感ないようにしています。

かかとも同じ。

つま先の補強素材(先芯)を入れて

さっきのつづきです。

釘で仮止め終了!

ここから靴底となる革を付けていったり、

足に合ってるか確認したり(ここで合わなきゃやり直し)

まだまだ私の知らない過程もこえて

やっとこさ靴のなっていきます。

やってる風景はまるで絵本の世界の話じゃないかなって思うくらい何となく心地いい。

昔の職人さんはアッパー(靴の本体)を作る製甲師、靴底を取り付ける底付け師に仕事が分かれているのが一般的でした。

いま、靴作りの仕事、メーカーなどでは分業制。  

若手で一人や小規模で靴作りをしているところは分業制じゃなくなってきています。

そうした元々分業制だった靴づくりのしごとを今の職人さんたちは一人でやらないとってなもんだから

時間や労力がかかってしまう。

大変だけど、だからこその味や愛着がそこに生まれるんだろうな^^

そんな大変な靴づくりを、どうして仕事にしようと思ったのですか?

まず以前勤めていた靴会社での不良品の廃棄処分の経験が大きいです。

製造した商品を顧客へ納品する仕事だったのですが、(海外では「生産の仕事は量をこなしてなんぼ」という考えがあることも影響してか)大量生産する靴はどうしても不良率が高く、納品できない製品は商品にならず自分たちの手でハサミを入れ廃棄していました。

廃棄をするたびにモノづくりの虚しさみたいなものを感じておりました。その反面モノづくりの意味を考える機会にもなり、本質を見失ったモノづくりは人を幸せにしないとも思うようになりました。

そして姫路にあるタンナー(革を作っている工場)を見学した際、生き物の命をいただいていることを改めて実感したこともあります。

「革」になる前の「皮」、動物から剥いだ皮は腐らないよう塩漬けされタンナーに届きます。

臭いもあり生々しく、そこには動物の命を感じることができました。

靴づくりに欠かせない革、本当に感謝し大切にしないといけません。

このような経験と考えにより、「生産」というよりも「モノづくり」する立場に立ちたかったのかも。

では、なぜ「オーダー」というやり方で靴を作っているのでしょうか?

いっこいっこ丁寧にモノづくりをすれば、オーダーじゃなくても職人としてモノづくりに携われる可能性もあると思いますが、オーダーメイドの形を松尾さんのお店では取っています。

靴選びが困難な人はもちろん、意外と困っていないと思われる人でさえ実は間違った

靴選びをしている。

そういう人たちにも足に合った靴を履いてほしい。

確かに、足ってサイズはもちろん、幅や甲の高さも人それぞれ

私たちは自分にあったものを探している

なのに

ちゃんと合った靴って履いたこと、ないかも知れませんね。

「履いてくれる人が喜んでくれることが目的」とHPに在りましたが、そのために心がけていることはありますか?

松尾さんが工夫している点の一つに足を運んで学ぶということがあります。

オーダー靴を手直ししてくれる専門のお店があるそうで(靴磨きじゃなくて)、そういう修理屋さんで学べることを足を運んだりしたり勉強されているとのことでした。

「靴をつくる」と「足に合った靴をつくる」

「足に合わせた靴」を作るためには沢山の経験とスキルが想像以上に必要なようです。

ただ「靴をつくる」ためではなく「足に合った靴をつくる」ため、日々勉強されているのですね!

その人の「きつい」とか「ゆるい」と感じる感覚も人によって違うから、

ただサイズや形が”合ってる”のではなく

「その人の足の”感覚”に合ってる」というのも必要らしいです。

きゃーっ果てしなく難しそうですね|д゚)‼

そんな靴職人という道を選んだ松尾さんは

「自分に合った靴を履く」という文化を広めたいと考えています。

なので、革靴をカジュアルに。

かしこまったシチュエーションだけではなく履いてほしいとのこと。

価格も業界では破格の値段でやっています。

製法で値段が変わるのですが、61000円~88000円で短靴からブーツまでオーダーメイドで作っていただけるそうです!

なんだか着物みたいだなって思いました。

着物もオーダーで作る文化がありますが、それだと一式上記の値段ではおさまらないことが殆どですし、私は安く感じました。

一生ものだし、なにかの記念に良いかもって思います♪

受け渡しまでの期間は2か月ほどいただいてるそうなので、

その点も含めていつ頼もうかなって考えた方が良いかもですね^^

松尾さんは是非製作過程を見てほしいとおっしゃってまして

営業時間内であればフラッと遊びに来てほしいとのことでした。

「知って買う」が出来る現場になるかもっ

今度みんなでお邪魔しようツアーでもしようかな♪

今回のゲスト○

ノンフィクション靴作家

松尾 悠 さん

連絡先

MAIL: info@boku-zikasei.com

電話:050-3718-2883

住所:大阪市東淀川区下新庄5-7-19 高岡セカンドハイツ106

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